今回は「編集者は厳しいことをいうかもしれないけど、読者はもっと厳しい」という話です。
「編集者って厳しいんでしょ? 作品にダメ出しされて、落ち込んだらどうしよう…」なんて考えたことのある人は、ぜひ読んでみてください!
編集長と作家との打ち合わせに同席した話
ぼくがまだ新人編集者だったころのこと。
編集長と作家さんとの打ち合わせに同席させてもらったことがあります。
その打ち合わせでは、事前に編集長が赤字を入れた原稿をもとに、
「こことあそこを入れ替えたほうが良くないですか?」
「この一文、わかりづらいです」
「ここはどういう意味ですか?」
というように、赤字1つ1つに対して質問したり、提案したりしていました。
ぼくはそういう場がはじめてだったので、「この編集長、すごく厳しいことをいうし、リクエストも多いな」と感じたんです。
厳しいといっても、パワハラや人格否定といった暴言の類ではなく、あくまで作品に対しての厳しさだったわけですが。
数時間後、打ち合わせも無事に終わり、帰りの電車の中で編集長から感想を聞かれたので、
「編集長が想像していたよりもずっと辛辣だったんで、作家さんが怒りだすんじゃないかと、ちょっとビビってました」
と正直に話したところ、
「そんな厳しかったかなあ。まあでも、読者はもっと厳しいよ。何もいわずに去っていくからね」
との答え。
この編集長の言葉は、今もぼくの中にずっと残っています。
辛辣な言葉は愛のムチ? 弱いものいじめ?
さて。
少し前にネット上で、「編集者のパワハラ発言がひどい」「ムダに厳しい編集者が多い」などと話題になっていました。
たしかに、パワハラ発言を連発する編集者もいるでしょうし、昔はもっと多かったと思います。
ぼくも数人、そんな人を知っていて、たとえばぼくが20代のころにつとめていた出版社の編集長(先ほどの編集長とは別)は、まさに昔ながらの編集者。
部下にはもちろん、外部のライターやデザイナーにも恫喝まがいの発言をしたり、無理難題を押し付けたりしていました。
今ならコンプライアンス的に100%NGですが、当時は、「上司というのはそういうもんだ」と……。
大前提としていっておきますが、みなさんは、こういうパワハラ人間のいうことには絶対に応じる必要はありません。
でも今後、たとえば編集者から作品に対して厳しいことを言われたときに考えてほしいのは、それが作品を良くしようとするための愛のムチなのか、それとも単なる弱いものいじめなのか、ということ。
どちらの言葉なのか、しっかりと判断してほしいんです。
なんでもかんでも、「ああ、作品に対して厳しいこと言われた! パワハラだ!」ととらえてしまうと、その後、「読者が無言で作品から立ち去る」という、もっと厳しくて、絶対に避けたい事態が待っています。
それは、編集者の辛辣な愛のムチなんて及ばないくらいの厳しさではないかと、ぼくは思っています。
そうならないために、自分の頭で判断することが必要なのです。
結局、読者が一番厳しい
「たしかに、編集者よりも、何も言わずに離れていく読者のほうが厳しいけど、パワハラなのか、愛のムチなのかは、どうやって判断すればいいの?」
このように思った人もいるかもしれませんね。
とらえ方は人によって違いますし、なかなか難しい点ではありますが、「自分の成長につながるかどうか」を判断基準にすれば、それほど大きく間違わないんじゃないかと思っています。
仮に、編集者は愛のムチだと思っていたとしても、クリエイター側がパワハラだとしか思えなかったら、それは編集者の伝え方がヘタでダメなわけです。
そんな状態で、「これ、パワハラだし、聞いても意味ないんじゃないか?」と思いながら渋々受け入れても、だれも得をしないでしょう。
とはいえ、これはあくまでぼくの考え方でしかないので、みなさん一人ひとりが自分の頭で判断するのがベスト!
参考程度にとらえていただければうれしいです。
最後に今回の記事をまとめると、
「編集者から作品に対して辛辣な意見が来たとしても、それは愛のムチであることが多いし、読者はもっと厳しいから、その意見をスルーしていると、最終的に困るのは自分自身になってしまうので気をつけましょう!」
ということです。
繰り返しますが、パワハラと愛のムチは別ものです!
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【just do it!】
あなたの作品への指摘は、愛のムチ? パワハラ? しっかり見極めよう!
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