25歳のころにした、損額賠償レベルの大失敗
今回は「出版中止」「本の回収」「損害賠償」「クビ」そんな言葉が頭に浮かぶほどの大失敗をしてしまった話です。
先に結論をお伝えしますと、
「実は大きくて目立ちやすいところのほうがミスをしやすいので、小さくて細かいところだけでなく、そっちも気を付けましょうね」
というものになります。
さて。
ぼくは23歳で出版業界に入り、最初は先輩編集者のアシスタントをしていました。
むちゃくちゃミスしまくってましたし、しょっちゅう怒鳴られました。
そんな経験をしつつ1年後くらいには、アシスタントではなく編集者として1人で本を作るように。
本を作るごとに少しずつ慣れてきて、おおまかな流れも分かってきた、そんな時のことでした。
とんでもない失態をやらかしてしまったのです。
もう15年以上前、まだツイッターもフェイスブックもiPhoneも日本になかったころ。
さまざまなwebサイトを掲載し、そのページのどこに特色があるのかをあげながら解説していく本を作りました。
その本の帯に、大きめの文字で「Webコレクション」と入れました……入れたつもりでした。
当時はコピー用紙に手書きでラフデザインを渡し、
「こんな感じのイメージでお願いします」
とカバーデザインを依頼していたのです。
数日後、デザイナーから届いたデザインをざっと確認して、デザインを少し修正してもらい、印刷所に入稿をしました。
その後、印刷所から色校正(実際に使用する紙に印刷したもの。色の確認などをする)が届きます。
ぼくが当時いた出版社は、そこそこブラックで、製作スケジュールにかなり無理がありました。
なので、いつもあまり時間に余裕がなく、そのときも、「まあ、よくできているかな」と、カバーや帯の文字、値段、バーコードの数字などをひととおり確認し、印刷所に、
「これでOKなので、印刷をすすめてください」
とお願いしました。
これで本の印刷が始まり、もう修正はできません。
あれ? Webコレクョン……?
それから約10日後、完成した本が会社に届きました。
出来上がった本を手にするのは、編集者としてすごく楽しみな瞬間。
「いよいよ出来上がったか。……あれ……?」
……絶句しました。
帯に大きく「Webコレクション」と入れたはずが、
「Webコレクョン」
となっていたのです。
「シ」が抜けてる……。
しかも、こんなに大きく目立ってるじゃん……。
どうして気づけなかったんだ……。
もしや、本の回収? 全部刷り直し? 費用はぼく? ぼくはクビ?
白目をむいて卒倒しそうになりながらも、速攻で上司に報告してバチクソに怒鳴られ、印刷所に話をしてすぐに帯だけを印刷し直してもらい、なんとか発売日には間に合いました。
ミスを見つけたときの、足元がおぼつかなくなった感覚を、未だに覚えています。
変な汗が止まらなかった……。
目立つ箇所ほど、実は見落としやすい
新人クリエイターのみなさんは、これからたくさんの作品を創作するようになるでしょう。
作れば作るほど、だんだん慣れてきて、当時のぼくみたいに、
「ええっ! こんな目立つ間違い、どうして気づけなかったんだ!」
というミスをしてしまうかもしれません。
実は、出版業界あるあるなんですが、小さな文字や、細かい数字は、「間違えがちだから、気を付けないと!」と注意しながら確認するので、誤字脱字に案外気づきやすいんです。
その反対に、大きくて目立つ文字は、「こんなの間違えるはずない!」と思うから、むしろ誤字をスルーしがち。
現にぼくも、一目でわかるような誤字にまったく気づけませんでした。
こんな大失敗をしたぼくからお伝えできることは、小さくて細かい部分はもちろん、大きくて目立つ部分も決して気を抜くことなく、確認をしましょう、時間がなくても何度も見直しをしましょう、ということ。
もちろんこれは、出版業界の人だけに限った話ではありません。
どこかに作品を送るときに送付先や名前を間違えたことで、無効になってしまったり、ギャラ交渉でゼロの数を間違えたことで格安の仕事になったり、そんな話は枚挙にいとまがありません。
こういうのは、すぐに気を付けることは難しく、日ごろの心がけがカギとなってきます。
ですので、今のうちから気を付けてくださいね!
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さて。
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