(今回の記事を音声で聴きたい方はこちらを)
昨日の記事「小説家のタマゴが今すぐ読むべき10冊」の後編です。
前編をまだ読んでいないかたはこちらから。
前編では、分かりやすい文章の書き方やストーリーの作り方についての本を紹介しましたが、後編では、直接小説には関係ないけれど、むしろ小説を書く上で欠かせないことについて書いてある本をご紹介していきます。
ちなみにほとんどの本は、多くの小説編集者がおそらく読んでないであろう本ばかり。
その点は、ビジネス書の編集者だった私ならではです!
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『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう 新版 ストレングス・ファインダー2.0』
著者:トム・ラス
「ストレングス・ファインダー」をご存じですか?
ストレングス・ファインダーとは、200近い質問に答えていくことで、自分の強みを導き出してくれるというもの。
しかも、その強みというのは、血液型みたいに4つに分けたり、星座占いみたいに12に分けたりするようなおおざっぱなものではありません。
34つに分かれていて、そこから上位4つを教えてくれるんです。
ちなみにその強み34つはこちら。
アレンジ/ 運命思考/ 回復志向/ 学習欲/ 活発性/ 共感性/ 競争性/ 規律性/ 原点思考/ 公平性/ 個別化/ コミュニケーション/ 最上志向/ 自我/ 自己確信/ 社交性/ 収集心/ 指令性/ 慎重さ/ 信念/ 親密性/ 成長促進/ 責任感/ 戦略性/ 達成欲/ 着想/ 調和性/ 適応性/ 内省/ 分析思考/ 包含/ ポジティブ/ 未来志向/ 目標志向
それぞれに対して、「あなたは~~という資質を持っているから、こういう行動をとるといいよ」というのが書かれています。
自分自身の特性を理解することは、小説を書く上で非常に大切です。
自分の才能や強み、長所を知らないと、なにを重点的に学べばいいか、どうやって伸ばせばいいのかがわかりませんからね。
またこの34の強みは、人間観察にも生かせるので、自分の強みだけに限らず、一通り読むことをオススメします。キャラクター設計にも生きてきますよ。
注意としては、この本は、一度だけしか使えないパスワードが一冊一冊に袋とじでついていますので古本で買っても、その本についているパスワードはすでに使われているものとなっているので、買うなら新品を。
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『リフレーミングの秘訣: 東ゼミで学ぶ家族面接のエッセンス』
著者:東豊
「リフレーミング」という概念が僕はすごく好きなんです。
ちなみにリフレーミングとは、現象・事象に対する見方や理解の仕方に関する既存のフレーム(枠組み)を変化させること。
簡単に言うと、ものの見方や意味付けの仕方を変えることです。
たとえば、大病をわずらって手術をしないとならないとき、その手術の失敗確率が3割だと告げられて、「10人受けて3人が失敗する。俺もうダメかも」と考えて落ち込んでいる人がいるとします。
でも、これは見方を変えたら、「10人受けて7人も成功する」とも考えられる。
このことを落ち込んでいる人に伝えることで、「まだまだ俺は大丈夫だ」と前向きにさせることもできるんです。
この差はかなり大切ですよね。
今の例はポジティブ思考の大切さみたいになってしまいましたが、リフレーミングを知ることで、自分の世界の狭さや、凝り固まった見方について、気づかされます。
それは小説を書く上で絶対にプラスに作用します。
ぜひ読んでみてください。
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『具体と抽象 ―世界が変わって見える知性のしくみ』
著者:細谷功
先ほど紹介したリフレーミングと同じく、物の見方や世界の捉え方を一変させてしまう、ある意味とてもおそろしい本。
この本を読むと何がいいかというと、世の中の事象に対する見方が変わるのはもちろんですが、あらゆることが小説の材料にできるようになるんです。
たまに、「盗作」「パクリ」について話題になりますが、これらはどれも「具体」をそのまま「具体」に転用してしまっていることが問題なのです。
そうではなく、「具体」を一度「抽象」にして、それをまた「具体」にする作業が必要なのです。
これは、本書を読まないとなかなかわからない概念ではありますが、本書を読んで、
・ある出来事が起こる(具体)
↓
・その出来事の本質を抜き取る(抽象化)
↓
・抜き取った本質を小説に転用する(具体化)
といった流れを繰り返すことで、あなたの書く小説がどんどんおもしろくなっていきます。
オススメです!
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『革命のファンファーレ 現代のお金と広告』
著者:西野亮廣
これからの小説家が生き残るための方法が記された一冊。
どんなにおもしろい作品を書いても、それを「広める」努力をしなければ、だれにも読まれなくなってしまいます。
その広める努力について、具体的にどういうことをやればいいのかが、著者の実体験とともに説得力をもって書かれています。
西野さんは自分が生み出した作品を子どもにたとえ、絵本を書くだけ書いて、売るのは出版社や書店にすべてお任せすることを「育児放棄」だといっています。
昔は、新人作家でも本を出して書店に置けばある程度は売れていましたが、そんな時代は終わりました。
出版社はもちろん、著者自身も売る努力をしなければ、本はすぐに返品されてしまいますし、売れない作家の烙印を押されてしまうと、出版社からのオファーもなくなってしまうのです。
そんな現代を生きる作家だけでなく、投稿サイトでランク入りしたい人にも、もちろんオススメです。
文字数は少なめですが、ムチャクチャ大切なことばかり書かれているので、ぜひ!
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『君がいないと小説は書けない』
著者:白石一文
今回ご紹介した10冊のなかで、唯一の小説です。
帯には「小説史をくつがえす自伝的小説、堂々刊行」とありますが、作家の白石一文氏の自伝といってもいいでしょう。
みなさんの身近に小説家はいますか?
いないという人が大半でしょう。
小説家とはどんな人なのか。
日々何を考えているのか。
物事をどう理解しているのか。
どんな歴史を歩んできたのか。
などなど、あくまで一人の作家の例ではありますが、知っておいたほうが、「小説を書くということ」がよりリアリティをもって身近になってくるはず。
もちろん、小説としても抜群におもしろいので、この本から白石一文ファンになる人もいるはず!
ということで、昨日から合わせて10冊をピックアップしました。
すべてとはいいませんので、興味のある本から読んでみてほしいなと思います。
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「1週間で小説家のタマゴが急成長するレッスン」を作りました。
・やる気はあるけど、どこから手をつけていいか分からない
・おもしろい小説が書けているのか、不安だ
・独学で書いているけど、やっぱりイチから小説の書き方が知りたい
・自分の小説に対して、編集者からのアドバイスがほしい
この中に1つでも当てはまる人は、参考になるはず!
もちろん無料です!
1日目――長編小説を書きたくても、まずは短編小説から書き始めよう!
2日目――上達への最短距離は、プロットを先に書くこと
3日目――ストーリーには型があることを知っている?
4日目――主人公の3つの要素①「欠点」
5日目――主人公の3つの要素②「目的」
6日目――主人公の3つの要素③「気づき」
7日目――実際に作って、送って、読んでもらおう