今回みなさんにお伝えしたいのは、「あなたの中には宝の山が眠っているけど、自分ではそれになかなか気づけない」ということ。
「これだ! という創作のネタがなかなか見つからない」
「いい創作のテーマに巡り合えない」
こんなふうに悩んだことのある人は、参考になるはずです。
夢をあきらめきれず、OLからマンガ家になった女性の物語
マンガ家になる夢をあきらめてOLになったけれど、やっぱりあきらめきれず、再び夢を追いかけ始め、ついにはコミックエッセイを出版した女性の話から始めます。
彼女とは知人の飲み会で知り合ったんですが、幼いころからイラストやマンガを描くことが好きで、学生時代から絵の勉強をしていたそうです。
そうはいってもプロになれるほどのスキルはなく、大学卒業後は就職して、OLライフを数年間おくっていました。
でも、やっぱり夢をあきらめきれず、OLをやりながら休日にマンガの勉強を再開。描きあげた作品を出版社に持ち込んでいましたが、なかなかうまくいかないと嘆いていました。
ありがちだけどありがちじゃない
後日、彼女のマンガを見せてもらいました。
これがムチャクチャおもしろかったら、トントン拍子に話が進むんですが、実際はそんなにうまくいきません。
絵のレベルは「う~ん……」という感じで、ヘタではないけれど、とりたてて上手ということもない。
残念ながら、本のカバーイラストや挿絵を依頼するほどクオリティまでは達していませんでした。
恋愛少女マンガが好きで、そういうのを描きたいと言っていましたが、このまま練習しても、ちょっと厳しいかなと感じました。
こういうとき、あなたならどうします? 正直に言っちゃいますか?
ぼくはそういうのが得意ではないので、ズバズバ言える人に憧れてしまいます。
そんなわけで、お酒を飲みつつ当たりさわりのない話を適当にしてお開きにしようと決めました。イヤな奴ですね。
で、話の流れで、
「一度はあきらめた夢をもう一度追いかけようなんて、スゴイっすね。なにかきっかけでもあったんですか?」
と質問したところ、
「ありがちなんですが、3年前に大病をわずらって死にかけたんです。そのときに、『このまま死ぬのは嫌だ』と思って、やりたいことをやろうと思ったんです。ありがちで恥ずかしいんですけどね」
との答え。
えっ、なにそれ……!
編集者の血が一気に騒ぎだします。
ヅラかぶって合コンへ!?
聞けば、大病はかなり深刻なレベルだったそうです。薬の副作用で髪の毛が抜けてしまうくらい。
「それは……大変でしたね……」
「でも、ヅラをかぶって合コンに行ってましたよ。さすがにペースは落ちましたけど、週2くらいでは」
「え、週2? ってことは、病気前は週何だったんですか?」
「週4は行ってましたね。たまにダブルヘッダーとかも。はやく結婚したかったんで!」
ここで、「週4で合コンやったら、いい男が見つかってもデートできないんじゃ?」と思ったあなたは正解! 彼女もそう言って笑ってました。
それはともかく、ぼくは彼女に言いました。
「ロマンチックな恋愛マンガじゃなくて、それ書けばいいじゃないですか。合コン行きまくってて、大病したけれど、それでも合コンに行っていた話」
「え、そんなのフツーじゃないですか? みんな合コン行ってますし、病気にもなってますよ」
「いやいやいやいや! フツーじゃないですよ!」
「そうなんですかねえ……」
自分のフツーに、他人の宝がある
その後、彼女は闘病しながら合コンに行っていた話をマンガにして、無事に出版。
マンガ家デビューを果たしました!
さて。
みなさん、きっとお気づきでしょう。
自分にとっては当たり前で、ありがちで、フツーのことであっても、他の人から見たら当たり前でもフツーでもないことがあるんです。
これは、彼女だけに当てはまる話ではありません。
つまり、あなたがこれまでにしてきた経験だって、宝の山の可能性があるんです。
彼女も言っていましたが、「自分の経験なんてありがち」「みんなやってる」、こんなふうに思っていることにこそ、むしろダイヤモンドの原石が隠れているかもしれません。
ただし、自分の視点から考えていると、いつまでたってもそれには気づけないもの。
なので、気の置けない友人あたりに、自分の経験などをざっくばらんに話してみてはいかがでしょうか。
いわゆる「壁打ち」ですね。
話をしながら相手の反応を見てみたら、
「あれ? こんな話に興味があるの? みんなやってることだと思っていたのに、違うの?」
というものが出てくるかもしれませんよ。
創作のネタに困っていたり、いいテーマが見つからないと思っている人は、ぜひ試してみてください。
きっと、あなたにしかない宝を発掘できるはず。
今回は、あなたの中には宝の山が眠っているけど、自分ではそれになかなか気づけないという話でした。
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