もしもあなたが、
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「好きだった作品が打ち切りになってしまった。哀しい……」
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「あんなおもしろいのを打ち切りなんて、出版社はバカなのか?」
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「自分の作品が打ち切られたら、どうしよう……」
と思ったことあるなら、ぜひ最後まで読んでみてください。
きっと、「打ち切り」に対しての見方が変わるはず。
今回の記事の結論を先にお伝えすると、
「打ち切りは、読者にとっては非情で冷酷無比なシステムに思えるけど、作者にとっては良い面もたくさんあるよ」
ということ。
打ち切りなんて、たまったもんじゃない!
さて。
少し前にツイッターで、作品の「打ち切り」に関する話題が盛り上がっていました。
ぼくが見た限り、
あんないい作品を打ち切りにするなんて、出版社ふざけるな
作者がかわいそう
みたいな意見が多かったように思えました。
連載マンガとか、シリーズものの小説の打ち切りって、たまにこうやって話題になります。
その作品を楽しんでいたファンからすると、たまったもんじゃないですよね。
「続きを心待ちにしていたのに、ラストまで読めないなんて……」
ぼくも、毎週楽しみに観ていた連続ドラマが、視聴率が悪すぎて打ち切りになったことがあります。
全11話だったものを全8話に短縮して、帳尻合わせたラストになっていたんですが、
おいおい、俺は毎週楽しみにしてたんだよ! こんなのってありか! 俺の気持ちはどうなるんだよ!
なんて思った記憶が……。
なので、好きな作品が突如、打ち切られてしまったファンの気持ちには共感できます。
でも同時に、「打ち切りは必ずしも悪ではない」とも思っています。
打ち切りで生まれた『ブラックジャック』
その理由は2つあります。
1つめは、「作者の才能をムダ使いさせないため」です。
どういうことなのか、説明しますね。
打ち切られてしまう原因は、一言でいえば「人気がない」ということ。
出版社側からしたら、続ければ続けるほど赤字になる作品を続ける理由はない、というわけです。
また、少し見方を変えると、あまり多くの人から愛されていない作品を続けるというのは、その作者の才能や時間、エネルギーをムダにしているともいえます。
その作者の才能や時間を、別の新作に注ぎ込むことで、もっともっとおもしろい作品が生まれる可能性があるんです。
今の作品をスパッとやめて、新作に取り組み始めることは、その作者の才能の開花や、作者をもっと大きなステージに上げることにつながるともいえるんです。
たとえば、あの手塚治虫さんも、読者からの人気投票のランキングが低かったために打ち切りになったことが何度もあります。
大ヒットした『ブラックジャック』は、そんなふうに何度も打ち切りにあった後に生まれた作品です。
もし、打ち切りというシステムがなく、不人気な作品をずっと連載し続けていたら、『ブラックジャック』は存在していないともいえるでしょう。
ほかにも同様に、打ち切り後にヒット作を出した人はたくさんいます。
なので、打ち切りになったら作者が落ち込むのは分かりますし、ファンも哀しい気持ちになるのもわかります。
でも、作者としては心機一転、うまく切り替えて新作に取り組むべきですし、ファンはそれを応援するのがいいのではないでしょうか。
作者は、自分ではなかなかやめられない
それともう1つの理由が、「作者は自分では打ち切れないし、やめられないから、外部が強制終了してあげるのも1つの手」というもの。
人気があるなしにかかわらず、作者は自分の作品を愛していて、時間とエネルギーを注ぎ込んでいます。
それが不人気であったとしても、
人気ないか~。ならもうこれはやめて、次にいこう
とはなかなかいけません。
作品に愛着があるし、これまでに注ぎ込んでいる時間などがムダになってしまうからです。
たとえば、40歳を過ぎても売れないお笑い芸人というのが、実はたくさんいます。
彼らは、売れない状況が20年以上続いているのに、なかなか芸人から足を洗えません。
これが25歳くらいなら、次の仕事を探しやすいですし、まだそれほどお笑いに時間とエネルギーを費やしていないので、芸人を辞めやすいといえます。
でも、もう20年以上ずっとお笑い芸人をやっていると、これまでに費やしたものがすべてパーになってしまうこともあって、芸人として芽が出なくても、続けてしまうんです。
もちろん、昨年のM1チャンピオンになった錦鯉が、50歳で優勝した例もありますので、もしかしたらお笑いの才能があって、ある日急に売れっ子になるかもしれません。
ですが、芸人をやめて別の道に行ったら、そこで才能が開花することだってあるでしょう。
そう考えると、あまり人気がない作品を、外部の立場からやめさせるというのは、それほど悪くもないんじゃないかと思います。
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と、2つの理由を書きましたが、打ち切りよりももっと哀しいこともあります。
それは、「作者はもうやる気がないのに、人気があるという理由で出版社が終わらせてくれない」というものではないかと感じています。
この状態になると、ファンであっても素直に喜べませんよね。
ということで今回は、打ち切りというシステムをすごく悪く言う人が多いけど、いい面もありますよ、という話でした。
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