「あの雑誌以外は持ち込まない!」という漫画家の話

クリエイターのマインド

以前、プロを目指している漫画家のタマゴに、

「どんな出版社に持ち込んだり、コンテストに応募したりしてるんですか?」

とたずねたところ、

「子どものころからずっと愛読していた〇〇で連載をもちたいんです。だから、そこへの持ち込みと、その出版社主催の賞以外は応募していません

といっていました。

この方の考えに対して、みなさんはどのように思いますか?

このタマゴのように、志望するものだけに狙いを定めたほうが良いと思いますか?

 

▼パズルのピースもあなたの個性も、同じものはない

さて。

結論を先にいうと、「いわゆるオーディションは、たくさん受けたほうがいい」というもの。

ちょっと想像してみてほしいのですが、パズルのピースって1つ1つの形が微妙に違っていて、まったく同じ形のものは1つもありませんよね?

その場所にピタッとハマれるピースは、そのピース以外に存在しない。

このパズルのピースと、作家の個性って同じようなもの。

みなさんの個性というのも、1人1人が異なっていて、みなさんの創作する作品というのは、あなた以外に表現できないんです。

そして、クリエイター志望者が理解しておかなければならないことは、なんとか賞も、雑誌の連載も、小説の文学賞も、オーディション形式で決まるものはほとんどの場合、「こんな形のピースがほしい」というのが、あらかじめ決まっているんです。

分かりやすいように単純化していいますが、あなたのピースが三角形だとして、円形のピースを求めているところに応募しても、まず勝てないということ。

たとえば、少女漫画しか連載しない雑誌に幼児向けギャグ漫画を持ち込んでも、意味がないでしょう。

また、SFやミステリーの文学賞に時代小説を応募したとして、どんなにおもしろい小説でも受賞しません。

「そんなのわかってるよ」と思ったかもしれませんが、あの『進撃の巨人』だって、最初は「週刊少年ジャンプ」に持ち込んで断られ、その後に「週刊少年マガジン」に持ち込んで連載が開始し、超大ヒットしたという話があります。

これはまさに、パズルのピースがハマらなかったいい例でしょう。

同じようなマンガ雑誌の「ジャンプ」と「マガジン」にも、求めている作風に明確な違いがあって、求めているピースの形が違っていたら、作品がおもしろくても関係ないんです。

▼自分の個性は変えられる?

ここまで読んで、もしかしたら、

「だとしたら、相手が求める形に、自分のピースの形を変えればいいんじゃないの?」

と思ったかもしれません。

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たしかに、それでうまくいく人もいるでしょう。

みなさんも経験あるかもしれませんが、就職活動なんてまさにそれ。

いろんな業界の企業を受け、その業界ごとに志望動機や自己PRを変えて、何社も受かる人もいますよね。

ただ、考えてほしいのは、そうやって入社した新入社員の3割が、入社3年以内に離職するという事実。

まして、就職よりも創作活動はもっとデリケートなもの。

自分の個性を押し殺したり、苦手なことを得意なように見せかけたりした先には、創作の楽しさは消滅してしまうかもしれませんね。

もちろん、「とにかく〇〇誌で連載したいんだ! 自分がマンガを描く理由はそこにしかないんだ!」というように、それが最優先すべき目的なら、いくらでも自分のピースを変えていいと思います。

でも、多くの人はそうではないはずです。

だとしたらどうすればいいのでしょうか?

▼あなたのピースがうまくハマる場を探そう

それは、自分のピースの形がうまくハマる場を探すしかありません。

難しいのは、自分のピースの形というのが、どんな形をしているのかは、なかなか自分では判断できないということ。

細かい部分は他人にしか分からなかったりするんです。

だからこそ、たくさんのオーディションを受けることによって、自分のピースの形が自分で見えてくるし、その結果として、うまくピタっとハマるところも見つかる可能性が高まるということ。

トライあるのみ!

いろんな出版社に持ち込んだり、オーデションを受けまくったり、その他、考えられる限りのことをやるしかありません。

そうやって、みなさんの作品が輝く場所を、自分の手で見つけるんです!

がんばりましょう!

ということで今回は、「いわゆるオーディションは、たくさん受けたほうがいい」という話でした。

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【just do it!】
自分のピースがハマる場所を見つけるために、トライしまくろう!
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