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【そもそも小説ってなんだろう?】
「小説」とはいったい何なのか。どのような条件を満たしていたら小説と呼べるのか。
そんなことを考えたこと、ありませんか?
こんな入り口の段階で、「小説の定義」という小難しいことを書くと、それだけで読むのがつまらなくなってしまいそうなので、すごく簡単に説明します。
小説の定義はたった一つだけ。
「ストーリーの最初と最後で、主人公が変化・成長していること」
これに尽きます。
「え、それだけ? そんな簡単でいいの?」
と思った人も多いかもしれませんね。
たしかに簡単ではあるけれど、けっこうこれが難しいんです。
書き慣れていない人の作品を読ませていただくと、結構多い割合で、主人公を変化・成長させた「つもり」になっているだけの作品と出会います。
たとえば……都内在住のOLが、毎日会社に行って帰ってくるだけの生活に疲れ果てて、ふと思い立って実家に帰り、昔の写真やアルバムを見て、その後、海に行ってまた昔を思い出して、やっぱり悩んだまま都内の家に戻り、次の日も同じように家を出る――こんな話です。
残念ながら、これは小説ではありません。こんな話を読んでも、誰も喜びません。
読者は、主人公が変化・成長している姿を見て、共感したいのです。
この都内在住のOLの話でいうなら……。
仕事に疲れ果てたOLが、実家の母から「帰って来い」という連絡を受ける。悩みながらも帰る道中、すごくいいことが起こる。その後、実家に着いたらある事件のせいでひどく落ち込むものの、そこで母にかけられた言葉で忘れていた大切なことを思い出し、主人公は都内の家に戻る。その翌朝、机にしまっていた退職願いをバッグに入れて、主人公は家を出る――。
あまり具体的ではないとはいえ、こちらのほうが共感しませんか?
これは私が今、パッと思いついたアイデアを書いただけですが、それでも主人公は変化・成長していますし、「なんか、普通に小説とかでありそうなストーリーだな」と思っていただけたのではないでしょうか。
実は、このストーリーは、あとで解説する「ストーリーの型」を用いて作りました。
この型にのっとってストーリーを考えていけば、絶対に主人公が変化・成長する、つまりキチンとした小説になるというものです。
これさえ使いこなせるようになれば、「途中で行き詰って書けなくなっちゃった」なんて事態はまずなくなるでしょう。
なぜなら、ストーリーの型は、主人公が変化・成長するために必要な場面が、順番通りに網羅されているからです。
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もう少しくわしく説明しましょう。
小説は、夜空に浮かぶ「星座」と似ています。
星座は、星から星に線を伸ばしてつないで、また次の星に向かって線を伸ばしてつなぎ、それを繰り返してたくさんの星と星をつないでいった結果、「オリオン座」「ふたご座」というような意味のある絵になって完成します。
たとえば、6つの星(ABCDEF)を、A→B→C→D→E→Fという順番でつないだ星座があるとします。
このとき、きちんとA→B→C→D→E→Fの順につなげなければ、その星座の形にはなりません。
B→A→E→D→C→Fというように順番が入れ替わっても、AとBの間に別の星が入っても、A→CというようにBを飛ばしてしまっても、Fが消えてしまっても、その星座は表せないということ。
星一つ一つを小説の場面と考えれば、小説も同じなのです。
小説は、たくさんの場面(星)を適切な順番でつないでいくことで、ストーリー(星座)が完成します。
大事なのは、「場面と場面を適切な順番でつなぐこと」。
たまに、「おもしろい場面をたくさん書いて並べれば、それで小説になるんだろ」と考えている人がいますが、これは大きなカンチガイというもの。
A→B→C→D→E→Fという順番で星と星をつなげてはじめて星座の形になるように、どんなにおもしろい場面がたくさんあっても、きちんと適切な順番でつないでいなければ、小説になりません。
それは、単なるエピソード集です。
ようするに、ある場面の次にどんな場面を用意するか、また、その2つの場面にはどんな因果関係があるのか。これをしっかりと理解しないことには、ストーリーは作れないということです。
「因果関係とか、よくわからないけど難しそう」
と思ったかもしれませんが、今の段階では、ストーリーの型に当てはめて作れば、おもしろい小説のストーリーが作れる、とだけ考えていただければ問題ありません。
小説を書きたいと思っている人の多くは、書きたい場面があるはす。
きっと、その場面は、すごく魅力的なんだと思います。
だからこそ、その場面を無駄にしてしまわないためにも、この原稿を読んで、ストーリーの作り方を学んでください。
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以上です。
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