それでは前回の続きから。
前回の記事をまだ読んでいないかたは、先にこちらを。

さて。
Fコードのどこに難しさがあるのか?
それは、「セーハ」といって、人差し指1本で1~6弦のすべてを押さえないといけないという点です。
Cコードなどは、指1本で1つの弦を押さえれば良いのですが、Fは6つの弦すべてを押さえる必要があります。
しかも、弦を押さえるのにはかなり力が必要で、やってみるとわかるのですが、最初は全然うまくいかず、いい音を鳴らすなんて、とうてい不可能。
さらに、弦というのは想像以上に固いんです。
人差し指がどんどん痛くなります。
ときには指の皮もむけたりして、ますますキツくなるんです。
「本当にFコードをきれいに弾ける日がくるんだろうか……」
「あのミュージシャンは簡単にFを押さえてるけど、俺にはFは押さえられないんじゃないか…」
こんなネガティブなことを考え始めてしまったりもします。
それでもあきらめることなく、1週間くらい毎日練習をしていたら、ある日急にFが押さえられるようになるんです。
それはまさに、真っ暗闇のトンネルをようやく抜けたときのよう。
「セーハ」さえできれば、B♭やBmといったコードも弾けるようになって、演奏できる曲数が一気に増えるのです。
そこからまた、ギターを弾くのが一気に楽しくなります。
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このギターの話が示していること、私たちに教えてくれることとは、いったい何でしょうか?
それは、楽しいことだけをやっていると、ある日急に壁にぶち当たり、成長が止まってしまうときがやってくるということ。
そして、その日がきたら、キツイことに耐えなければ前に進めず、成長できないということです。
ただし、その壁を乗り超えられれば、一気に成長できて、技術はもちろん、自信もついてきます。
それに、またギターで例を出しますが、仮にFより難しいコードを押さえる曲を演奏することになっても、
「Fコードを押さえるのがあんなにきつかったけど、毎日練習を重ねたら、ある日乗り越えられたんだ」
という経験さえあれば、
「だから、この難しいコードだって、練習していれば絶対に押さえられるようになるんだ」
というように自分を信じることができて、高い壁であろうとも、かならず乗り越えることができるのです。
そういったことを何度も何度も繰り返していくと、技術はどんどん上達して、プロになれたり、プロは無理でも個人レッスンでお金を稼げるようになったり、今ならギタリストユーチューバーになったりして、ギターを弾くという大好きなことで生活できるようになるというわけです。
そんな幸せな未来はすべて、最初につらい体験をして、乗り越えられたからこそやってくるのです。
Fコードをやらず、ずっと簡単なコードで演奏していたら、そんな未来はやってきません。
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これはもちろん、小説を書くことも同じです。
好きなことをやるだけでは、ずっと成長し続けられません。
あるとき突然、壁にぶち当たったり、長く暗いトンネルに入る日がやって来るのです。
ギターの場合は、ほとんどの初心者に「Fコード」という共通の壁がありましたが、小説に関していうと、その壁は人によって違います。
ぶち当たる時期も違うでしょう。
そのときに大切なのは、たった一つ。
未来を信じること。
「私なら、かならず乗り越えられる」
と、あなたの未来を、あなた自身が信じてあげてください。
たとえば、
友人があなたの小説を読んで「おもしろい!」と言ってくれているところだったり、
文学賞を受賞して、その授賞式でスピーチをしている場面だったり、
あなたの小説が書店に並んでいるところだったり、
ドラマ化されてテレビで放映しているところだったり。
そのような未来の姿を想像できた人だけが、きつい時期を乗り越えることができるのです。
何も考えず、未来を信じることもしないで、淡々と作業をしても、壁を越えることはきっとできないでしょう。
それほど私たちは強くありません。
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私自身、小説の編集者になりたての頃は、「好きな小説が仕事になった!」と楽しい毎日でした。
でも、すぐに壁にぶち当たりました。
小説家の原稿に、どうやって赤字を入れて良いのかわからなくて悶々としたり、それゆえに作家と打ち合わせしても全然うまくいかず、怒られたことが何度もあったのです。
たくさん勉強し、メルマガで伝えている「ストーリーの型」をしっかりと身につけるまでは、まさにFコードを習得するようなキツい時間でした。
けれど、小説の編集者として作家たちと仕事をしている未来の自分を何度も何度も想像したことで、なんとか乗り超えることができました。
辛い時期を乗り越えてからは、何人もの作家さんと作品を作れましたし、今も小説に関われているし、ありがたいことに、好きなことを仕事にして食べていけています。
もちろん、それ以降も何度も大変な時期はありましたが。
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今回の結論。
小説という好きなことを仕事にして食べていきたいなら、そのうちキツイことの乗り越えないとならない時期が必ずやってきます。
とはいえ、小説が好きなみなさんだったら、半分は乗り越えたようなもの。
あとは、未来を信じて、それぞれの夢がかなっている姿をイメージしながら、歯を食いしばって努力するしかありません。
おたがい、がんばりましょう!
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